ジンジャー・タウン

星谷周作創作坊

地球の女の自慢話

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火星の月が吹き飛ばされて、

 

それを吹き飛ばしたのは私だ

 

と言い張る地球の女と、

 

それを吹き飛ばすよう指示したのは私だ

 

と主張する金星の女の間で口論となり、

 

髪を引っつかみ合う大げんかの末、

 

火星の月は自ら吹き飛んで行くのを見た

 

という地球の月の証言によって、

 

二人の主張は間違いであることが証明され

 

ばつが悪くなった二人が

 

そろって水星へ移り住んだあくる日、

 

火星に戻ってきた月が、

 

自分は地球の女のくしゃみで飛んでいって

 

しまったのだと述べたため、

 

地球の女は鼻高々で、あちこちに

 

火星の月を吹き飛ばしたのはわたしだ

 

と自慢して回りながら、

 

地球へ戻ってきた、とさ。