ジンジャー・タウン

星谷周作創作坊

天狗さま

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夜市の帰り、夜店で釣ったポン玉を

 

ポンポンさせながら家路を急いでいると、

 

前方を、天狗さまが二人、

 

連れ立って歩いているのが見えた。

 

なにやら楽しそうに話をしているので、

 

何を話しているのか聞いてやろうと、

 

僕は足早に

 

彼らの背後へと近づいて行った。

 

だが、

 

もう少しで彼らに追いつこうとしたそのとき、

 

前方の二人がこちらを振り返った。

 

「あじゃるでおじゃる。おじゃるであじゃる」

 

僕に気づいた二人は、

 

意味不明の言葉を発しながら、

 

急いで走り去ろうとしたが、

 

そうはさせるものかと

 

僕も彼らの後を追ったので、

 

しまいに彼らは、

 

近くにあった樫の木に駆け登り、

 

そのまま、

 

ものすごい速さで木から木へと飛び移って、

 

あっという間に森の中へと消えてしまった。