ジンジャー・タウン

星谷周作創作坊

星くずの襲撃

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ある夜の出来事。

 

くすの木の丘のてっぺんに寝そべり、

 

満点の星空を眺めていた。

 

「こんなに小さな星くずが集まると、

 

光のベールになるんだな。きれいだなあ」

 

とひとり言を呟いた途端、

 

夜空に輝いていた星くずたちが、

 

一斉にこちらへ向かって、

 

射るように落下してきた。

 

「うわああー」

 

避けようとしたが間に合わず、

 

気づいた時には、

 

無数の星くずたちが僕の身体に激突し、

 

はね返った彼らは、そのまま丘の上を

 

ごろごろと転げ落ちて行った。

 

「わたしたちは、星くずなんかじゃないよ。」

 

「星くずはあんたでしょ」

 

「もう星くずとは言わせないよ」

 

星たちは口々に叫びながら

 

僕に体当たりしてくる。

 

そして、ひゃひゃひゃひゃ、

 

と歓声を上げながら、

 

わらわらと丘を転げ落ちてゆく。

 

「わ、わるかったよ。謝るよ」

 

僕が叫ぶと、星たちの襲撃が止んだ。

 

「ああ、よかったあ」

 

そう思ったのもつかの間、

 

ひときわ大きく輝く北極星氏が、

 

こちらに狙いを定めていた。

 

「うわあ」

 

落ちてきた北極星は

 

僕の中へとのめり込み、気がつけば、

 

僕は北極星と一体となって、

 

丘を転げ落ちていた。

 

そして、北極星氏が僕の中に入ることが

 

なんだかとても愉快で可笑しく、

 

僕は丘を転げおちながら、

 

ひゃひゃひゃひゃ、とひとり、

 

歓喜の叫びをあげていた。