夕闇迫る堤防の土手を歩いていると、
大きなハート型をした何かと、
小さなハート型をした何かが二つ、
黄緑色の蛍光色を発しながら
河原を移動しているのが見えたので、
何だろう、とよく目を凝らして見てみると、
河童の親子のお尻だった。
河童の親子は河原で水浴びをしていた。
親河童が子河童の頭の皿に、
川の水を掬ってかけてやっている。
子河童の皿に水が沁みこむたび、
子河童は小躍りして、きゃっきゃっ、
とはしゃぎ、そのたびにお尻が
黄緑の蛍光色に光った。
と、小河童がこちらを指さしながら、
親河童になにやら囁いた。
親河童がこちらを見た。
やばい、と思った僕は、すぐに知らん顔で
土手を歩き始めたが、しばらくすると、
大きな二人の河童は、
緑色の光を発しながら、
上流に向かって静かに泳いでいった。